自分の可能性を広げる
「ドクターマネージャー」という仕事
2022.12.09
ドクターマネージャーという職業をご存じでしょうか。ドクターのサポートを行うだけでなく、患者さんの思いに寄り添い、一人ひとりの希望をドクターに伝えることでより効果的な治療を行う、京都・たけち歯科独自の職種です。他にはない新しい仕事にチャレンジ中の坊奥さんに、ドクターマネージャーという仕事の魅力についてうかがいました。
たけち歯科ドクターマネージャー。前職では京都市内の土産店で6年間勤め、店長として勤務した後、コロナ禍を機に働き方を見直すため退職。2021年6月にたけち歯科に入職、ドクターマネージャーとして活動中。
ドクターマネージャーは患者さんとドクターの架け橋
前職では京都市内の土産物店で販売の仕事をしていたのですが、コロナ禍になり店を開けられない状況に追い込まれました。職場は人間関係もよく、販売の仕事も好きだったのですが、お店が休業になって初めて自分の将来について真剣に考えるようになったんです。
6年間勤めて、できることはやり尽くしたという満足感もありましたし、昼に出勤して夜遅くまで働くという勤務体制を長く続けるのは年齢的にも厳しいだろうという気持ちもありました。
そこで別業種へ転職しようと思い、生活リズムを整えられる仕事というと事務職かなと考えたのですが、やっぱり人と接する仕事が好きだったので「自分ができることで誰かの役に立てる仕事って何だろう?」と思いながら転職サイトを見ていたんです。そんな中で偶然見つけたのが、たけち歯科のドクターマネージャーという仕事でした。
歯科助手や医療事務といった職種の中でヒットしたもので、正直言って自分ができると全然思えなかったのですが、サイトを見て「ここは人を大切にする職場なんだな」というのが印象的でした。
それに求人ページの中で「カフェの店長経験のある人」といったように、欲しい人のイメージがすごく具体的に書いてあって、ここなら自分も役に立てるんじゃないかと思って応募してみました。
大きく言えば、医院全体で診療が円滑に進むようにマネジメントする仕事です。歯科助手というとドクターのアシスタントというイメージがあると思うのですが、ドクターマネージャーはアシストだけでなく、ドクターに対して積極的に提案をしていく点が違います。
例えば医院には9台の診察ユニットがあるのですが、治療にあたっているドクターに「この後の予約がキャンセルになったので治療時間を延ばせます」とお伝えしたり、「急患がいらっしゃったので、次のキャンセルの時間にお願いできませんか」といった相談を行います。
私たちはチェアコントロールと呼んでいるのですが、ドクターに状況を説明して「こういう選択肢がありますが、どうしますか」「こういう風にしてもらえませんか」と積極的に提案していくのがドクターマネージャーの大事な仕事です。
また患者様はドクターに直接言いづらいこともあると思うので、ドクターマネージャーが間に入ってお話を伺い、それをドクターに伝えて治療に生かすということも大切な仕事です。特に武知院長はカウンセリングを大切にしていて、患者様の思いをしっかり聞いて、治療に反映したいという思いが強いんです。ドクターマネージャーは患者様のお話を丁寧に伺い、その思いをドクターにしっかり伝えるという、架け橋としての役割が大きいと感じます。
他にも、治療が初めてのお子様は、診察台に座ってお口を開けて…ということができない子がほとんどですので、治療前にドクターマネージャーが先生の代わりになって練習相手になったり、受付や会計業務のヘルプに入ったり、新人の指導や採用活動のサポートを行うなど、さまざまな業務に関わっています。
自分の言葉で伝えないと、相手には伝わらない
院内にドクターが10名、ドクターマネージャーが8名いるのですが、基本的にドクター1名につきドクターマネージャー1名が担当するという形になっています。ドクターマネージャーは担当ドクターの動きや考え方を把握していることはもちろんなのですが、他のドクターのこともわかっていないと全体のチェアコントロールはうまく回らないので、広い視野を持ちつつ的確な判断をする必要があると思います。
私は未経験で入ったので、最初は治療の流れや器具の名前など、基礎中の基礎になる知識を覚えるのがとにかく大変でしたね。ですが、先輩たちも未経験で入職されており、大変なところや、難しいと感じるところを理解してくださっているので、とても心強く、頼れる存在です。
チェアコントロールについては、まだまだ全体を把握しきれていないところがあって、目の前のことで手一杯になってしまうことがあります。私にとっては今も大きな課題です。
入職して1年半たって感じるのは、ドクターマネージャーは自分の言葉で伝えることがすごく大事な仕事だということです。ドクターに対しても、患者様に対しても、自分から相手に状況をきちんと伝えないと相手もどう動いていいのかわからない。わからないことを「わからないです」と言わないまま進んだ結果、気がつくと全然違う方向を向いていた、ということになりかねないと思うんです。
これは前職での経験が生かされているのかもしれません。店長としてパートさんやアルバイトさんなど、スタッフ一人ひとりと向き合いながら信頼関係を作るためには、自分からちゃんと気持ちを伝えないと、相手には絶対に伝わらないんだなと思うことがたくさんありました。
そうやってコミュニケーションをとってきたおかげか、患者様がどういう気持ちで来ているんだろうとか、どういう風に話しかければ不安な気持ちを緩和できるだろうかと考えながらお話できているのかなと思っています。
最近うれしかったのは、ある患者様が私と話したことで治療方法を決めてくださったことです。歯科の治療には健康保険が適用される保険診療と適用外の自由診療があるのですが、自由診療は高度な治療が受けられる分、費用がかかります。
どちらにしようか迷っていらした患者様にそれぞれの違いを説明したうえで、患者様のことを思って自由診療をお勧めしました。すると「それやったら自由診療にするわ」と患者様が言ってくださって。私の気持ちがちゃんと伝わった、伝えられた!と手ごたえを感じた瞬間でした。
ここに入る前は歯の知識も知らなかったですし、歯の大切さも全くわかっていなかったんですが、今は本当に大切だとわかるからこそお勧めもできるようになり、それを自分の言葉でちゃんと伝えられるようになったというのはすごく嬉しかったですね。
互いの考えを深堀りし、高めあえる職場環境
たけち歯科に入ってビックリしたのは「TDC Ways」と呼ばれる、医院理念に基づいた行動指針があることでした。例えば「陰口・悪口・マイナス発言禁止」というように、短い言葉でまとめられた教訓のようなもので、なんと30個あるんですが、こんな風に働けたらすごくいいな、素敵だなというものばかりで個人的にすごく好きなんです。
院長がずいぶん前に一人で作ったそうなのですが、なかには今のたけち歯科には合わないものがあったり、逆に追加したほうがいいんじゃないかというものもあります。院長が新しく更新しようとプロジェクトを発足して、有志メンバーを募集されたんですね。
当時、私は入職して1年経っていなかったのですが、新しくするなら自分も納得できるものになってほしいし、自分もそこに参加できたらいいなと思って手を挙げました。
参加メンバーは、院長や事務、歯科衛生士などさまざまな職種のメンバー7名です。2週間~1ヶ月に一度くらいのペースで集まっているのですが、職種も勤続年数も関係なく発言できるのがいいなと思っています。
特に院長は話しあうことをすごく大事にされるので、院長がいるから言いにくいということも全くないですし、「それはなぜそう思うの?」「それをしてどうなりたいの?」と院長自らどんどん質問して深堀りしてくれます。
ドキッとするようなことを言われることもあるんですけど、質問されて気づかされることも多いですし、みんなそれぞれ思うことを出しあった結果、思いもよらないゴールにたどりついたりもして、すごく面白いですね。みんなが平等に発言できる環境は、たけち歯科ならではだと思っています。
今は目の前の仕事を覚えるのに必死で、先のことが考えられないというのが正直なところですが、全体を見る力をもっと身に着けて「坊奥さんがいれば大丈夫」と安心してもらえるような、そんな存在に早くなりたいですね。
採用サイトへ
採用担当 栗木 千明さん から一言
坊奥さんについて
入職して1年半弱ですが、マルチに活躍しているスタッフです。
ドクターマネージャーの業務を超えて、受付に立ったり、分院のパイプ役を担ってくれたりなど、さまざまな能力を活かして働いてくれています。
医院の指針となるミーティングにも自主的に参加してくれますし、そこで発信する意見には坊奥さんならではの豊かな人間性があふれています。周りを見ながら「自分にできることは何か?」を常に考えて行動できる素晴らしいスタッフです。
取り組みについて
「ここで働いてよかった」と思える職場だからこそ、患者様に寄り添い、患者様のためにできることはないかと一生懸命になれます。年間休日134日、18時退社、他業界に劣らない給与などの「目に見える報酬」、職場の雰囲気、社員の成長サポート、休みの取りやすさ、風通しのよさなどの「目に見えない報酬」、このどちらも大切にして初めて「ここで働いてよかった」という想いが芽生えます。
働き方改革というのが一時期話題になりましたが、私たちが行っているのは「働きたい改革」です。一人ひとりが違って当たり前の「こんな風に働きたい」に真摯に向き合い、実現できる場所をご用意する。ひいてはそれが、組織の成長にもつながっていく。これが私たちの行っている取り組みです。
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取材日:2022.10.12